あらすじ
雪と鋼の国アイゼンガルド。その地下工房で、ニーナは一人、義肢を研ぐ。
彼女には、誰にも言えない秘密があった。
幼い頃、自分の不注意で地雷原に入り、自分を救った双子の兄姉に一生の欠損を負わせたこと。
――軍司令官の兄、フリードリヒは、右腕を。 ――筆頭外交官の姉、フリーデリカは、左脚を。
罪悪感に苛まれるニーナは、明るく振る舞いながら、二人のために最高の義肢を作り、メンテナンスを続けることで償おうとしていた。
だが、成長した双子の愛は、ニーナの想像を遥かに超えて歪んでいく。
「この腕を触れていいのは、お前だけだ」
「私の脚を直せるのは、あなたしかいない。……だから、一生、私の側にいなさい?」
似た顔、似た声を持つ2大スパダリによる、逃げ場のない包囲網。
職人として二人の「切断端」に触れるたび、ニーナは贖罪と、恐怖に似た溺愛の狭間で揺れ動く。
これは、罪を背負った少女と、彼女を「壊してでも独占したい」兄姉による、極寒の地の愛憎劇。