あらすじ
雪深い夜、夜行列車の中で、久我奏太は隣に座る老女から「奇妙な話」を持ちかけられる。
白い雪に閉ざされた車内で語られるのは、かつてある男が巻き込まれた、不可解で歪んだ日常の記憶だった。
老女の言葉は、静かで淡々としていながら、次第に久我の感覚を侵食していく。
それは過去の出来事でありながら、まるで現在進行形のように迫り、久我自身の内面と奇妙に重なり始める。
雪、沈黙、移動する密室。
語られる「生」と「生き延びること」の重さに触れるうち、久我は自分がなぜこの列車に乗り、なぜ彼女の隣に座っているのかを考えざるを得なくなる。
やがて列車は、ある小さな駅へと辿り着く。
そこで待っているものが、救いなのか、それとも――。
人は、他人の人生をどこまで引き受けてしまうのか。
雪国の夜を舞台に描かれる、静かで逃げ場のない心理ホラー。