あらすじ
宰相の息子である侯爵令息ルシアンは、なぜか「悪役」と噂されがちな立場に置かれていた。
けれど本人は穏やかで、争いを好まず、ただ淡々と実務をこなしているだけの青年である。
一方、公爵令嬢アリシアは皇太子の婚約者として王宮に身を置きながら、次第に宮廷に漂う違和感に気づき始めていた。
噂や感情が先行し、事実や責任が軽んじられていく空気。
その中で、なぜか「悪役」と呼ばれるルシアンの周囲にだけ、静かな信頼が集まっていく。
やがて王宮で開かれることになる“断罪の場”。
そこに集うのは、正義を掲げる者たちと、ただ事実を見つめる者たち。
果たして裁かれるのは「罪」なのか、それとも「人の器」なのか。
これは、声の大きさではなく、責任の重さで選ばれていく人々の物語である。