あらすじ
「聞こえるか。今から、未来の話をする」
水深6000メートル。太陽の光すら届かない極限の深海基地に閉じ込められた、10人の男女。
絶体絶命の閉鎖空間で彼らが手にしたのは、「未来の声」だった。
次々と的中する不吉な予言。重力に逆らい天へ還っていく雨。そして、死んだはずの男がシステム上で歩き回る不可解な挙動――。
加速する異常現象の中、現場リーダーの工藤は、基地を統制する平澤がひた隠しにする、この世界の決定的な違和感に気づき始める。
外部との通信は途絶し、基地を包囲するのは実体のない「黒い霧」。
私たちは本当に、自分たちが思っている「自分」なのか?
通信機から漏れ聞こえる「過去の全滅を告げる記録」は、何を意味しているのか?
緻密な構成によって張り巡らされた謎。一見無機質なノイズや些細な違和感が、一つの旋律へと収束していく。
これは、全ての物語が「冒頭」へと繋がったとき、一変した世界に涙する、驚愕のSF群像サスペンス。
――その声は、希望か、それとも破滅への合図か。