あらすじ
再生可能エネルギーは「環境保護」と「人類の発展」を同時に実現できるのか——本稿は、この素朴だが根源的な疑問から始まる。
鍵となるのは EROI(Energy Return on Investment:エネルギー収支比率)である。これは、あるエネルギーシステムが生み出すエネルギーが、そのシステムの製造・運用・廃棄に投入されたエネルギーの何倍かを示す指標だ。数値が小さくなれば、社会に配分できる余剰エネルギーが減っていく。思考実験として EROI=2 を考えると、システムの維持と再生産にほぼ全てが吸い込まれ、交通・医療・教育・文化に回せる余力は理論上ほとんど残らない。車も電車も病院も、芸術も娯楽も教育すら——「当たり前」の多くが成り立たなくなる。
10円で発電できても、貯蔵し運ぶのに20円かかるなら、それは30円のエネルギーである
門外漢の研究者とAIが対話を重ねて辿り着いたのは、ドイツのエネルギー転換、新疆を経由するサプライチェーン倫理、そしてペロブスカイト太陽電池の“定期更新モデル”までを貫く一本の線だった。
本稿は、エネルギー政策を「環境」という記号から切り離し、「物理」と「成立条件」の問題として捉え直すための、イデオロギー抜きの思考実験である。
SF(narrative)サイドは「最適化されない惑星」をご覧ください
https://kakuyomu.jp/works/822139845363939214