あらすじ
遥か昔、ウクライナ南部、デレイフカ。
10歳の少年ゼレンは、母と二人で暮らしていた。父は狩りに出たまま帰らず、村の男たちは母子を軽んじていた。
集落では、野生の馬を捕らえて荷運びなどに使っていた。しかし大体の馬は気性が荒く、引くのがやっとだった。ある日、ゼレンは母のために、誰も成功したことのない「馬に乗る」ことを思いつく。
最初は落ちる。何度も、何度も。村人たちは笑い、母は心配した。
しかし、ある朝——ゼレンは馬の背に跨り、草原を駆けた。
風になった。
誰も追いつけない速さで。誰も見たことのない景色を見た。
この瞬間、人類の歴史が変わった。草原の民の物語が、ここから始まる。