あらすじ
20○○年、人類は放射能で汚染された地表での生活を捨てて大空へと居住空間を広げて行った。
所謂、高層階メトロポリス計画である。
それを可能にしたのが、特殊ケーブル・超軽量合金等の新資材の開発と高層建築に電磁力を応用すると言う全く新しい建築理論、この2つを土台に飛躍的な進化を遂げた新建築技術である。
この新技術があればこそなし得た居住空間の高層化であり、ここに人類の叡知は輝ける未来に向けて新たなる第一歩を踏み出したかの様に思われた。
しかし問題は生じた。
それは上空ではなく足もとにあった。
富裕層が進歩を続ける高層階に次々と移り住んで行くその陰で貧困層は低い階にそのまま取り残されるため、格差は文字通り階層として目に見える形で如実に、言い換えれば露骨に表出したのである。
そして人類の栄華の象徴であった筈の上空へと伸び行く幾つもの摩天楼の森も、次第に低層階に残された人達の目には不公平の表象として映る様になり、それはいつしか嫌悪の対象へと変わって行った。
やがて暴動すら起きかねない不穏な空気が漂って来た低層階に対して当局は全ての建物の75階に治安部隊を配備して、力で鎮圧したのだった。
それ以降74階と75階の間の階段は封鎖され、エレベーターもその間で寸断された。