あらすじ
テキ屋の下っ端として生きる景司は、子どものバザーを「儲からない厄介事」と決めつけ、毎年文句を言いながら参加していた。子どもが苦手で、期待されることも避けてきた彼だが、射的屋を任されるうち、外れても泣ける場所、失敗しても笑って帰れる場所を無意識に守り始める。やがて子どもたちから名前で呼ばれ、苦情と感謝の板挟みに遭いながらも、場を荒らす大人に立ち向かう決断をする。英雄になることも、人生が一変することもない。それでも景司は、ひねくれたまま「子どもの味方」と呼ばれる立場を引き受ける。これは、立派ではないが確かな一歩を踏み出した男の、ささやかで温かな転換の物語である。