あらすじ

大正十四年、東京。雑誌『文明論』の女性記者・御崎千代子は、三年間一本の署名記事も書けず、編集部で孤立していた。 ある日、彼女は全国で起きる失踪事件にパターンを発見する。九人の失踪者、すべて「境界」で消えた——峠、渓谷、湖。そして今、十人目が進行中。 千代子は山形・新潟県境の村へ向かう。これが最後のチャンス。失踪の謎を暴けば、記者として認められる。 だが村で待っていたのは、貧困でも、阿片窟でもなく——異様な豊穣さと、戦わなくていいという甘美な誘惑だった。 「ここでは選ばなくていい」「もう一人じゃない」 自由を求めて戦ってきた千代子の心が、温もりに溶けていく。そして彼女は知る。失踪者たちが本当に手に入れたものを。 隠国十夜、最終夜。 因習の闇が、近代という光を飲み込む。

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エブリスタ2026/02/15
  • 現在の作品【隠国十夜】~第十夜『隠国への招待状』