あらすじ
「君のような田舎の司書に何が分かる」
そう冷たく言い放つ彼の言葉は、私の目には『君と話せて嬉しい』という鮮やかなピンク色に見えていました。
王立図書館の司書リリアナは、言葉の感情を「色」として見る能力を持っています。
そんな彼女が出会ったのは、失言により王都を追放された元天才魔術師アレン。
彼の言葉はいつも黒く棘だらけ。でもその中身は、後悔の灰色と、不器用な優しさの金色で溢れていて……。
これは、言葉を信じられなくなった男と、言葉の本当の色を知る女が紡ぐ、優しくて少しだけ切ない恋の物語。
失われた名誉と閉ざされた心を開く鍵は、図書館に眠る「真実の言葉」でした。
【登場人物紹介】
◆リリアナ・シェリー
本作の主人公。王立アルカディア図書館の辺境分館で働く司書。言葉に込められた感情が「色」や「重さ」として見える特殊能力を持つ。その能力ゆえに言葉をとても大切にしており、物静かで心優しい女性。愛称はリリア。
◆アレン・クロフォード
かつて「王国の至宝」とまで呼ばれた天才宮廷魔術師。王太子への失言を咎められ、魔力の大部分と地位を奪われ辺境に追放された。皮肉屋で無愛想だが、根は優しく、深い知識と国を憂う心を秘めている。
◆アルフォンス王子
物語の舞台となる王国の第一王子。アレンの元主君。公正明大だが、若さゆえの危うさも併せ持つ。アレンの「失言」の真意に気づけなかったことを内心悔いている。
◆ヴァルガス公爵
アルフォンス王子の側近。温厚な仮面の下に、国を揺るがすほどのどす黒い野心を隠している。アレンを陥れた張本人。