あらすじ
肌寒い夜、街灯の下で立ち尽くす僕。
今年、桜は見逃してしまった——そんな独り言が胸を締めつける。
高校時代の友人・神崎からの突然の誘いに、僕は渋々応じる。
辿り着いた川沿いには、初恋の人・志帆の姿。
しかし彼女はもう、別の人生を歩んでいる。指に光る結婚指輪が、時間の流れと線を引く。
後悔は消えない。
でも、足を止めずにここまで歩いてきた自分は、昨日の自分とは違う。
満開ではない桜が風に揺れる中、僕は初めて素直に「今年、桜を見た」と言える。
影は伸び、夜に溶けていく。
それでも、足は前に出ていた——春の足音とともに。