あらすじ
幼少期に読んだ絵本が、心の中で腐っている。
トラウマに感染した物語が体を蝕む奇病「蔵書症」——その治療法はただ一つ、患者の内面世界に潜り、腐った物語を縫い直すこと。
だが、パステルカラーの絵本世界に待っているのは、笑顔で内臓を盛り付ける怪異と、逃げることしかできない絶望だった。
繕い手・糸守縁、31歳。他人の痛みに一切共感できない。だからこそ、トラウマに引きずり込まれずに物語を縫い直せる。
解き手・鉤谷棘、24歳。他人の痛みがすべて自分の体に来る。だからこそ、トラウマの核を一瞬で見抜ける。
共感しない女と、共感しすぎる男。正反対の二人が、壊れた物語を摘出する——グロゴアホラー×バディ探索×心理ドラマ。
「治してどうするの?」
腐った世界の片隅で、黒い影が嗤っている。
「最初から壊れた物語を与えれば、壊れたまま生きていける」
治す者は、自分自身を治せるのか。