あらすじ
「また、この匂いか。……酸っぱくて、気取っていて、息苦しい」
ワインの品質が貴族の格を決める、ワイン至上主義の王国。
伯爵家の嫡男ウィル・ロットは、成人の儀で不浄のギフト《腐敗》を授かり、その場で廃嫡・国外追放を宣告される。
だが誰も知らなかった。
彼が前世で、孤独死したビール愛好家だったことを。
そして――
その《腐敗》の力こそ、微生物を操り、発酵と熟成を極限まで支配する最強の醸造魔法だったことを。
「発酵と腐敗は紙一重だ。……この世界に、本当の乾杯を教えてやる」
死地デッドランドへ追放されたウィルは、不毛の荒野を最高の醸造所へと作り替えていく。
伝説の鍛冶ドワーフ。
幽閉された氷の聖女。
癖の強い仲間たちと共に、彼が生み出すのは――
喉を焼く苦味のIPA。
水の清らかさを極めたペールエール。
氷魔法で低温熟成された究極のラガー。
「ワインが神の血なら、ビールは民の魂だ」
不浄と蔑まれた麦酒は、やがて王国の常識を覆し、世界を琥珀色の革命へと巻き込んでいく。
孤独死した元サラリーマンが起こす、逆転の醸造ファンタジー開幕!