あらすじ
母が亡くなったあと、台所の引き出しから一冊のノートが見つかった。
そこに残されていたのは、完璧なレシピではなく、「焦がした」「塩、多すぎ」といった短い失敗の記録ばかりだった。
戸惑いながらも、主人公は母のメモをなぞるように料理を始める。
同じ失敗を繰り返し、同じ言葉を口にしながら、やがて気づく。
そのノートに書かれていたのは料理ではなく、忙しさや体調、迷いといった“生活”そのものだったことに。
最後のページに残された一行――
「今日は、ちゃんと作ろうと思った」
完璧ではなくても、続いていく日々。
不完全な料理の中に、静かに受け継がれていく愛を描く、台所から始まる物語。