あらすじ
「望み? 殿下の婚約者でなくなることですので、もう叶っておりますわ」
公開の場で一方的に婚約破棄を言い渡された公爵令嬢レティシア。
だが彼女は泣きもせず、怒りもせず、ただ微笑んだ。
なぜなら――彼女の望みは、王太子の隣に立つことではなかったから。
王都で新たに事業を起こそうとしたレティシアを待ち受けていたのは、既得権益にしがみつく巨大組織“ギルド”。
「規則ですので」
「慣例ですので」
「許可が下りませんので」
事業を始めるにはギルドに従え、と言うのなら。
「でしたら、従う必要がない立場になればよろしいのですわね?」
金を使い、権力を動かし、法律を操り、
そして“合法の範囲内”で徹底的に追い詰める。
原料を押さえ、物流を握り、資金を貸し、議決権を奪う。
気づいた時には、ギルドは彼女の傀儡になっていた。
やがて王都の産業は彼女の設計図の上で動き始める。
名門貴族でさえ新事業を始めるには、
“ギルドの支配者”である彼女に挨拶に来なければならなくなる。
王太子の商会でさえ例外ではない。
「わたくしは、支配が欲しいのではありませんわ。ただ、自由が欲しいだけ」
これは、婚約破棄された令嬢が
涙の代わりに経済を握り、
王すら選ぶ立場に立ちながら、
最後に“支配を手放す”物語。
悪役令嬢は、手段を選ばない。
だが、最後に選ぶのは――自由。