あらすじ
「――第三王子イグナシオ。今こそ王宮の秩序を正すべき時が来た。
素性も知れぬ踊り子の血を引く者が、この神聖なる玉座の近くに侍る不遜……今日この時をもって終わらせてやろう!」
国王が病に伏した途端、第三王子イグナシオは王妃と兄王子によって、死地である最果ての『灰鉄の砦』へと追放された。
不吉な漆黒の髪と、母譲りの「傾国」の美貌。不遇な扱いを受けてきた彼は、しかし絶望することなく優雅に微笑む。
彼は知っていた。この10年、彼が秘術が、王城の崩壊を、病の蔓延を、食糧の消失を、食い止めていた「楔」であったことを。
イグナシオがいなくなった王都に、かつてない飢えた爪音が響き始める。
一方、流刑地の砦に降り立ったイグナシオは、一歩も動かずに敵軍を壊滅させ、凶悪な狂犬たちをその足元に跪かせていた。
「さてと、どうしようかね?」
呪われた血を引く青年が、死の舞踏の幕を上げる。文字通り、国を傾けるために。