あらすじ
略奪の残火(ざんか) 〜異世界転移で得た最強の力は、俺を焼き尽くす毒だった〜のスピンオフ作品
ヒロイン:リィネ・エル・レギウム
外見: 没落した聖教国の末裔。透き通るような銀髪を持つが、ある理由から「呪われた子」として幽閉されていた。
特性: 「万象の器(エンプティ・ベッセル)」。
カイトが吸い取った「行き場のない力」を、彼女の体に流し込むことで無害化(中和)できる唯一の存在。
彼女自身は魔力を持たないが、カイトの暴走する力を受け止めている間だけ、その力を「聖なる光」として一時的に行使できる。
なぜ彼女はその力を秘めていたのか?
聖教国ルミナリス。
魔力こそが万物の価値を決め、聖なる光を放つ者が神の寵愛を一身に浴びるその国で、リィネ・エル・レギウムは「奇跡」の象徴として誕生した。
月の雫を紡いだような、汚れなき銀の髪。 母より受け継いだ、絶大なる聖女の血。
白亜の塔の頂上で、彼女は宝石のように大切に、そして牢獄の囚人のように厳重に育てられた。
いつか、その身に宿した莫大な魔力が開花し、世界を救う「最強の聖女」となる日を、誰もが疑わなかった。
しかし、彼女の内側にあったのは、満ちゆく光ではなく、どこまでも広がる「虚無」だった。
触れる花は枯れ果て、温かな魔法は霧散し、差し伸べられた手からは熱が奪われていく。
人々の「期待」はいつしか「失望」に変わり、捧げられた「祈り」は、呪いにも似た「憎悪」へと変質していった。
「呪われた子」 「欠陥品の聖女」 「世界の穴」
そう呼ばれ、鎖に繋がれた彼女が、絶望の果てに廃教会で見つけたものとは何だったのか。
なぜ彼女は、すべてを略奪する「彼」にとって、唯一の救いとなり得たのか。
これは、最強の力を持ちながら死を待つしかなかった孤独な青年と、何も持たぬがゆえに彼を受け入れた少女が、運命の琥珀色に染まる食卓へ辿り着くまでの――前奏曲。
一人の少女が、自分の「空っぽ」な心に意味を見出すまでの、残酷で愛おしい生い立ちの物語。