あらすじ
深夜。ひっそりとした交番に、がらがらと引き戸が開く乾いた音が響いた。
外の冷えた空気が一気に流れ込み、机の上の書類の端がかすかにめくれる。肩をすぼめた一人の男が、気だるそうに中へ入ってきた。
当直の警官はペン先を止め、書類から顔を上げると、いつもの調子で気安い笑みを作った。
「こんばんは。どないしたんでっか?」
「いやあ、あんなあ……さっき死体を見つけたもんなんやけど」
「し、死体!? どこでや!?」
「ああ、ちゃうねん、ちゃうねん。もう通報は済んどるわ。ほら、三時間くらい前に駅近くの通りで死体が見つかったやろ。わて、その第一発見者やねん」