あらすじ
「恐怖で支配する時代は終わった。これからは、熱狂(エンタメ)が世界を動かす方程式だ」
最強の魔王として魔界を統治していたゼノス。
しかし、彼が求めたのは「力による支配」ではなく、人々の心を震わせる「究極のエンターテインメント」だった。
魔族たちに歌を歌わせ、戦場に演出(ステージ)を持ち込もうとした彼の狂気的な情熱は、武力至上主義の側近たちの理解を得られず、ついに「無能な魔王」として人間界へ転生追放されてしまう。
人間の40代の中年男の体として、辺境の冒険者ギルドに流れ着いたゼノス。
すべてを失い、自分の理想は間違っていたのかと自問自答する彼の前に、一人の少女が現れる。
窓口で誰からも相手にされず、それでもひたむきに笑おうとする「お荷物受付嬢」ルルネ。
彼女が口ずさんだ無垢な鼻歌を聴いた瞬間、ゼノスの魂は再び燃え上がった。
「これだ……。これこそが、俺が証明したかった唯一の方程式(バフ)だ!」
ゼノスは決意する。彼女を「トップアイドル」としてプロデュースし、今度こそ自分のエンターテインメントで世界を塗り替えることを。
だが、元魔王のプロデュース術はあまりに型破りだった。
彼女がステージで輝けば、聴く者の全ステータスが【極大限界突破】する最強のバフが発動する。
ただし、その恩恵を授かれるのは――彼女の輝きを信じ、人生を捧げる「ガチ勢(ファン)」のみ!
「いいかルルネ。お前の仕事は魔物を倒すことじゃない。観客の心臓を、その一音でぶち抜くことだ」
まずは手始めに、ルルネを冷遇していた超エリート騎士シルティアを、圧倒的な「ステージ」によって重度のオタク(親衛隊)へとクラスチェンジさせる。
これは、エンタメを愛しすぎた元魔王が、一人の少女を世界一のスターにするために命を削り、その熱狂のバフでついでに絶望的な運命まで書き換えてしまう、情熱の物語。
「さあ、方程式を書き換えよう。……開演(ライブ)の時間「恐怖で支配する時代は終わった。これからは、熱狂(エンタメ)が世界を動かす方程式だ」