あらすじ

世界はすべて二十度で管理されるべきだ。湿度は五十パーセント以下。それがショコラ――そして人類が最も美しく存在できる絶対領域(テリトリー)なのだから。

 漆黒のショコラトリー《レ・ゼキゾチック》を営む御子柴累(みこしばるい)は、業界で「黒い錬金術師」と称される天才ショコラティエ。だがその実態は、全事象をカカオの配合比率で解釈しようとする重度のカカオ狂いだった。

 ある雨の日、店に駆け込んできた女性・梓に一目惚れした累は、彼女を「至高のレシピ」として再構築すべく狂気の試行錯誤を開始する。

 三日三晩眠らず、カカオの結晶構造と対話して作り上げた渾身の一粒。しかし、満を持して挑んだ告白の返答は「先月結婚しました」という、計算式には存在しない非情な変数(既婚)だった。

 失恋のどん底に落ちた累の前に現れたのは、幼馴染の妹にして、猛毒の舌を持つ新進気鋭のパティシエ・凛。

「あんたのチョコ、自分に酔ってて反吐が出るわ」
 素材を殺していると断じられた累の脳内で、再び禁断のフォーミュラが組み上がる。

 これは、恋を計算し損ねた男が、カカオの暴力性と新たなミューズに翻弄される、甘くない(カカオ九十九パーセントの)ラブコメディ。

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アルファポリス
アルファポリス2026/02/15
  • 現在の作品禁断のカカオ・フォーミュラ