あらすじ
「俺と凛は、自然にうまくいく」——三村蒼太はそう信じていた。幼馴染の氷室凛とは小学校からの付き合い。告白なんて必要ない。ずっとそばにいるのだから、いつか自然とそうなる。そう思って、好意を形にすることをサボり続けた。それどころか、友人の前では照れ隠しのつもりで彼女の悪口まで言う始末。
そこに現れたのが、学校一の遊び人・藤宮糸。
女慣れしているはずの糸が、凛の前では不器用に空回りする。照れて言葉に詰まり、気の利いたことを言おうとして盛大に滑る。それでも絶対に引かない。嘘をつかない。真っ直ぐにぶつかってくる。
凛は戸惑う。こんな男、信用できるわけがない。遊び人で、チャラくて、私とは正反対の人間。
——なのに、どうしてこの人の前だと、胸がこんなにうるさいんだろう。
幼馴染の「当たり前」が崩れていく。慢心の代償は、静かに、しかし確実に積み上がっていく。
これは、好きな人を好きだと言えなかった男の因果と、遊び人が初めて知った本気の恋の物語。