あらすじ
新宿・歌舞伎町。
ネオンの熱と人々の欲望が渦巻くこの街には、夜ごと“蛇”と呼ばれる異形が生まれる。
それは人間の未練や執着が凝り固まり、宿主の理性を食い破って現れる怪物だ。
ユウとアズサは、その蛇を“歌”で狩る存在。
ユウの声は獣の牙のように蛇を切り裂き、アズサの声は深淵の底から響く重低音で傷を縫い止める。
二人は戸籍も過去も捨て、この街の闇に身を置きながら、ただ歌い、ただ戦い続けてきた。
しかしある夜、巨大な蛇との戦闘中、ユウの歌声がわずかに震える。
その瞬間、彼の影が蛇の形を取り始め、長年狩り続けてきた“執着の残滓”がついに彼自身を侵食し始める。
相棒を救うために歌うのか。
それとも、共に堕ちるために声を重ねるのか。
曇天の夜空に月はなく、ただ二人の歌だけが街を照らす。
その旋律は救済か、破滅か。
答えは、誰にも届かない歌の中にだけ存在する。
◆登場人物紹介
■ユウ
• 裏路地で“歌う殺し屋”と噂される青年
• 高音から低音まで自在に操る多彩な声質
• 歌声は物理的な衝撃波となり、蛇を切り裂く
• 明るく軽薄に見えるが、内側には深い空虚と飢えを抱える
• 今回の事件で、自身の影が蛇化し始める
■アズサ
• フードを深く被った寡黙な青年
• 地の底を這うような重低音の歌声を持つ
• ユウの暴走を抑え、蛇を“縫い止める”役割
• 感情を表に出さないが、ユウに対してだけは強い執着と責任感を見せる
• 相棒を救うか、共に堕ちるかの選択を迫られる
■蛇(Shé)
• 人間の未練・執着・欲望が具現化した怪物
• 宿主の感情を吸い尽くし、街に狂乱をもたらす
• その存在は、ユウとアズサ自身の心にも影を落とす