あらすじ
世界を焼く夕焼けの下、絶対の王ゼル=ヴァルクは、玉座の直上に生じた“理の外”の裂け目に呑まれた。
それは戦でも謀反でもない。予見も対処も許されぬ、一方的な“引力”。
次に立っていたのは――コンビニの前。
威圧は通じない。誰も跪かない。
自動ドアは沈黙し、犬は吠え、信号という見えぬ結界が王の足を止める。
数百年、支配する側にいた男が、初めて「空腹」と「無関心」に晒される。
だが、この世界は壊れない。
力で縛らずとも、人々は笑い、並び、夕暮れを迎える。
その静かな秩序の裏で、わずかに揺れる“黒より暗い残滓”。
玉座を奪ったものは何者か。
この世界は偶然か、必然か。
そして――王は、帰れるのか。
魔王、異世界で無力。
だが敗北ではない。
静かな侵略が、今はじまる。