あらすじ
死の谷を統べた、知恵と誇りの戦記
カナダ、トロント郊外に深く刻まれた「ドン谷」。
そこは近代都市のすぐ隣にありながら、一歩足を踏み入れれば野生の掟だけが支配する、沈黙の聖域だった。
物語の主人公は、一羽のエリマキ雷鳥「レッドラフ」。
彼は雛の時から、死が隣り合わせの過酷な選別を生き延び、やがて谷で最も賢く、最も美しい「王」へと成長する。彼の響かせるドラミングは、森のすべての生命を震わせる旋律となった。
しかし、その王の治世に、一人の老練な猟師カッピーが影を落とす。人間の狡知が生み出した「罠」と、野生の極致が導き出す「本能」。雪原を盤面に見立てた、種族を超えた極限の知恵比べが始まった。