あらすじ

太古の昔、人間がまだ存在しなかった時代。 海には、人間の舌を持ち「味」を理解する一匹の魚がいた。 魚を食べることで知能を高めたその存在は、やがて思考を持ち、長命となり、ついには「海の主」と呼ばれる支配者へと成り上がる。 時は流れ、人間の時代。 海辺の町に、戸塚舴という少年がいた。 彼は町一番のバカとして知られ、漁師の家に生まれながらも、漁の知識も判断力もほとんど持ち合わせていなかった。 十六歳の誕生日、舴は軽い気持ちで一人漁に出る。 しかし嵐に遭い、船は沈没。 命を落としたと思われた舴が次に目を覚ましたのは、十年後の世界だった。 目の前に現れたのは、言葉を話す巨大な魚――かつての海の主。 死の間際にあった主は、何も知らず、何も持たない舴を後継者として選び、自らを食べるよう命じる。 五年をかけて主を食べ尽くした舴は、その知能と知識を引き継ぎ、世界の真実を知る。 この海は世界の底であり、役目を終えれば崩れ去る運命にあること。 そして、海の外にはまったく異なる世界が存在することを。 主の死とともに海は崩壊し、舴は水のない地上――異世界へと押し出される。 かつて町一番のバカだった少年は、海の知恵を宿した存在として、新たな世界に降り立つ。 これは、 食べることで知恵を継ぎ、 世界を越えてしまった男の物語である。

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小説を読もう2026/02/14
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