あらすじ
公爵令嬢として何不自由なく育ったはずの私。
けれどその実態は――父の“所有物”。
やがて婚約した王太子もまた、優しく微笑みながら言った。
「望む物は与えよう。だが私の庇護下であることを忘れないでほしい」
庇護。
守られる立場。
――つまり、所有。
この国ではそれが“正しい”とされていた。
女は家のもの。
妻は夫のもの。
民は国家のもの。
善政と呼ばれる統治の下で、誰も疑わなかったその価値観。
だが国家危機の中で、私は初めて知る。
善意が刃になる瞬間を。
そして隣国へ“人質”として差し出された先で出会ったのは、
「人を物と見ない」開明的な王。
彼もまた転生者だった。
奴隷貿易と人権軽視を理由に戦争も辞さない隣国。
母国は崩れ始める。
だが私は願った。
「所有物ではなく、隣に立つ者として扱っていただけますか」
その一言が、歴史を動かす。
民は気づいていた。
自分たちもまた、飼われる存在だったことに。
反乱が起き、王政は揺らぐ。
そして――
かつて所有物だった公爵令嬢は、
民に推され、新女王となる。
血統ではなく、合意で立つ王。
婚姻は所有ではなく契約へ。
王位は私物ではなく責任へ。
これは復讐ではない。
滅ぼすざまあではない。
体制そのものを塗り替える、
“選ばれる王”の物語。
「私は、誰の所有物でもありません」
その宣言から始まる、
静かで確かな革命譚。