あらすじ
011年の東日本大震災をきっかけに、筆者は高校時代の不可解な人間関係を振り返る。
東京の私立高校に入学した主人公は同級生たちから異常なまでに積極的な接近を受ける。友好的に見えた彼らの言動には、次第に違和感が募っていく。執拗な金銭要求、心理的な揺さぶり、集団での監視めいた行動――それは「友達」を装った巧妙な支配だった。
一人の生徒の家に集められた日、テレビに映った新興宗教団体の報道。その後目撃したアジトらしき建物のマーク。タバコを買いに行かされた不自然な使い走り。ドア越しに聞こえた「勧誘」「集会」という言葉。すべてが一つの可能性を示唆していた――彼らは宗教団体と関係があり、主人公を勧誘しようとしていたのではないか。
事件発覚後、彼らは全員地元を離れた。その一致したタイミングが疑念を確信へと変えていく。
やがて大学で哲学と出会った主人公は、デカルト、ウィトゲンシュタイン、セネカ、ハイデガーらの思想を通じて自己を確立し、心の平穏を取り戻していく。過去の傷を乗り越え、「今を生きる」ことの意味を見出した主人公が、同じような経験をする誰かのために綴った記録――それがこの物語である。