あらすじ
それは、純愛という名の淘汰――
十二月六日。
高校三年生の湊(みなと)は、難関国立大学のA判定を手にする。
それは、閉塞感に満ちたこの雪の町を抜け出し、広い世界へ羽ばたくための切符だった。
幼馴染の陽葵(ひまり)は、自分のことのように涙を流して喜び、湊の背中を全力で押してくれる。
しかし、その夜、運命は不自然に断絶した。
午前零時。耳を刺すような砂嵐の音と共に、湊の意識は白濁する。
次に目を開けたとき、待っていたのは昨日と全く同じ、どんよりとした鉛色の空だった。
日付は、十二月六日。 昨日と寸分違わぬ、陽葵の祝福の声。 昨日と寸分違わぬ、冬の冷たい風。
湊はすぐに気づく。
自分がこの町を出るための「一歩」を踏み出すたびに、世界は異常なエラーを吐き出し、強制的に時間を巻き戻してしまうのだ。
ループを止める条件は何なのか。
なぜ、世界は自分をこの町に閉じ込めようとするのか。
答えを探して足掻く湊の前に、いつもと変わらぬ笑顔の陽葵が立ちはだかる。
彼女はどこまでも純粋で、どこまでも湊の幸せを願っている。
けれど、その一点の曇りもない「善意」が、湊には次第に逃げ場のない檻のように見え始めて――。
繰り返される冬の中で、湊が最後に掴み取る「明日」とは。