あらすじ
王立上級学院で出会ったテオとセシリア。
付き合い始めても世界は変わらない。変わるのは、二人の「隣」の距離だけだ。
彼女は努力と劣等感を燃料にして強くなる。
僕は崩れないふりで、恋を壊さないように手順を守る。
胸元を叩く合図。手を握ってほどく返事。
――「君の手は、まだここにある」。
けれど合理国家メルディアの価値観が、セシリアに「安心」を与えはじめる。
感情は損。揺れは無駄。選ばれたいなら基準に合わせろ。
整えるほど、言葉は温度を失っていく。
遠距離より先に、価値観が遠くなる。
救いだった合図が、確認になり、監査になり、そして――。