あらすじ
「重力をねじ切れ。空は、まだ僕らの設計途中だ」
蒸気とオイルの匂いが立ち込める下町。
十六歳の技師レオは、亡き父が遺した「呪い」と戦っていた。
それは、爆音を上げる農耕用エンジンと、不安定な【浮遊石】を組み合わせた、あまりに不格好な「飛べない」鉄屑。
ある夜、レオは屋根裏部屋に引きこもる「星狂いの少女」シェリルと出会う。
彼女が解読した異端の数式は、東の海の果て、星の光がゆらゆらと歪む空域に「伝説の都」があることを示していた。
必要なのは、道を示す地図、旅を支える莫大な資金、そして無謀を現実に変える理論。
没落商家の娘リゼ、退屈を持て余した天才研究者カイルが加わり、ただの夢想は「航海計画」へと動き出す。
――静かで、安全で、退屈なギルドの飛行船なんていらない。
轟音とともに重力に抗い、雲を切り裂く「一番騒がしい翼」で、まだ誰も見たことのない水平線の彼方へ。
これは、未完成な四人が、未完成な船で、未完成な世界の形を確かめに行く、空と情熱の冒険譚。