あらすじ

部屋を奪われた日、涙は出なかった。 継母の一言で実家を追われた元男爵令嬢サヤには、誰にも明かせない秘密がある。 前世で過労死した調剤薬剤師の記憶だ。 たどり着いたのは祖母が遺した荒れ果てた薬草畑。 雑草だらけの土地を前にサヤが始めたのは、前世で叩き込まれた品質管理の手法で薬草を一本ずつ育てることだった。 土を分析し、記録をつけ、村人の冷え性をお茶一杯で変える。 小さな評判はやがて辺境を越え、領民医療に悩む若き領主の耳にも届く。 彼はサヤに金を差し出した。 サヤはそれを断り、代わりに土地と水路を求めた。 品質管理の記録が薬師ギルドを黙らせ、誠実な仕事が社交界の嘘を暴いていく。 サヤは何も仕掛けていない。ただ良い薬草を作り続けているだけだ。 それなのに、追い出した側の足元から音を立てて崩れていく。 一方で畑に通い続ける領主は、石垣を直し、法律を調べ、声の届く距離にいると言う。 その全てを「水路の視察のついで」と呼ぶ不器用な男の本心にサヤだけが気づけない。 自分の力で立つと決めた少女は、差し伸べられた手を取れるのか。 ついでという言葉の裏側に何があるのか。

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小説を読もう2026/02/14
  • 現在の作品継母に追い出された令嬢は薬草畑でのんびり暮らすことにした