あらすじ
「私に縛られる必要はない。幸福を選べ」
余命三ヶ月の王は、愛する妻へ冷酷に離縁を突きつけた。
――彼女に嫌われている、という残酷な誤解を抱いたまま。
不器用な王は、最後まで「良い夫」にはなれなかった。
隣国から嫁いだ才媛である王妃を守るため、あえて距離を置き、事務的な会話に終始した日々。
自分が死ねば、彼女を縛るものはなくなる。
そう信じて疑わなかった王は、最期の瞬間にまで、ある「真実」に気づくことはなかった。
それは、窓辺の花一輪に込められた彼女の献身。
それは、震える指先が隠していた、言葉にできない恋情。
王が息を引き取った後、残された一冊の日誌が、閉ざされていた真実を暴き出す。
「嫌ってなどいなかった。……愛して、いたのです」
これは、すれ違ったまま死に別れた二人の、あまりにも切なく、温かな後悔の物語。