あらすじ
古びた長屋で暮らす景司は、日雇い仕事でその日をつなぐ貧しい男。冷房もなく、雨漏りもする暮らしだが、彼の周りには笑いが絶えない。夏は団扇と西瓜を分け合い、秋は月を見上げ、冬は火鉢を囲み、春は小さな畑に芽吹きを待つ。隣人のおせい、友人の源吉、そして少年・健太とともに、足りない日々を工夫と冗談で乗り越えていく。やがて健太は成長し、広い世界へ踏み出そうとする。景司は引き留めない。帰る場所は残しておくと言い、月を見上げる。金はなくても、消えない灯りがある。それは、人を思い、笑い合い、送り出す力。四季を通して描かれる、ささやかで温かな“明るい貧乏”の物語。