あらすじ
都内。
日本国における最高学府、T大学。
天野 学(あまの まなぶ)は同大学に所属する、理学部天文学科の教授である。
年齢は三十四歳。宇宙が誕生した初期から存在するであろう、巨大なブラックホールの発見に携わっており、同大学内でも異例の抜擢であった。
そんな彼の趣味は、他の天文学者の例に漏れず『天体観測』である。
北極星。
地球の地軸の真北に位置するその星は、空ではほとんど移動しない。
古来より、人類の活動に『指針』として大きな役割を担ってきた。
天野は、そんな北極星に憧れがある。
自身も、あの星のように誰かの指針となりたい。
そう願いながら。
しかし、令和8年1月1日。
異変は急に訪れる。
天野は、北極星を認知できなくなってしまった。
いくら空を見上げども、真北に位置するあの星が確認できない。
周りから話を聞くと、自分以外の目には、未だに北極星が煌々と輝いているらしい。
なぜ、自分にだけそんな現象が。
天野は現在携わっている研究の傍ら、その原因を探ることとした。
だが、科学で解明できない不可思議な事象に、原因究明は難航する。
そんな時、天野に匿名のメールが届いたのであった。