あらすじ
近年、ミアナルナ王国では魔導通信網の発達により、配信型動画サイト《ミラストリーム》が爆発的な広がりを見せていた。ダンジョン攻略、魔物討伐、秘境探索――命懸けの冒険は今や娯楽として消費され、人気冒険者は王国貴族よりも注目を集める存在となっていた。
トップパーティともなれば、戦闘員のほかに専属の配信技師、演出術師、編集魔導士を抱えるのが当たり前だった。
そんな潮流の中、Aランクパーティ《紅蓮の王冠》に所属していた少年編集魔導士・ミシェルは裏方専門で、戦闘ができない編集魔導士だった。派手な魔法も剣技も使えず、戦闘では一切役に立たない。だが彼は、戦闘記録の編集・演出において比類なき才能を持ち、彼が手掛けた映像はどれも素晴らしい迫力と美しさがあり、パーティの人気を押し上げていた。
――しかし。
「最近、再生数が落ちてきたな」
「原因は地味な編集だろ?」
「つまりお前の責任ということだ、ミシェル」
功績も実績も無視され、彼はたった一度の数字低迷を理由に無能の烙印を押され、追放されてしまう。装備も拠点も失い、彼は一夜にして無所属の底辺編集魔導士へと転落した。
失意の中、街のはずれで途方に暮れていた彼に声をかけたのは、奇妙な四人組だった。
剣士フィナ、白魔導士ユア、盾持ちアスラ、黒魔導士ミレイ。
彼女たちは最弱の無名パーティ《星彩ステラ》。だが、彼女たちは真剣な目でミシェルに言った。
「私たちを、有名にしてほしいの」
半ば押し切られる形で加入したミシェルだったが、彼女たち__彼自身も、知らなかった。
彼は神の御業とも呼ばれる《紅蓮の王冠》の編集を一手に担っていたということ。ずっとバフをかけ続けていたこと。それが、普通ではないこと。
それから、彼のスキルに隠された本当の彼の実力__。
ミシェル加入後初のダンジョン配信。大した人気もないはずの彼女たちの戦いは、ミシェルの宣伝や編集技術によって、たった一晩でバズを起こす。
コメント欄は熱狂に包まれ、登録者数は爆発的に増加。
だがその裏で、彼を追放した元パーティ《紅蓮の王冠》は人気が急落していた。
人気を《星彩ステラ》に獲られたのだ。
――失って初めて理解した。
自分たちが追い出したのは、無能ではなかったのだと。
これは、追放された少年が最弱パーティを史上最高のスターへと導き、幸せを手に入れる物語。