あらすじ
二月二十五日、深夜。安っすい牛すじを煮込み、至福の晩酌を楽しんでいた佐藤剛(45歳・独身・三段腹)は、突如として異世界に召喚される。
だが、待ち受けていたのは「勇者」としての歓迎ではなく、「醜悪なオークの変種」という蔑みと追放だった。
持たされたのは、十年使い込んだ愛用の牛刀一丁のみ。
絶望の森で空腹に震える剛が出会ったのは、空腹の冒険者たちと「泥臭くて食えたもんじゃない」と言われる魔物の肉だった。
「下処理さえしっかりすれば、どんな肉だって化けるんだよ」
これは、ハゲて腹の出たおじさんが、その技術だけで居場所を切り拓く、美味しくて少し切ない逆転劇。