あらすじ
その猫は、オス猫にも関わらず何故かサクラと呼ばれることが多い野良猫だった。
今日もエサを与える人間達から、サクラやお嬢と呼ばれて納得できないまま住処である小さな公園のベンチに座り込み物思いに耽る。
その小さな公園には不釣り合いな大きな桜の木があり、小さな公園のベンチを花びらで埋め尽くしていた。
特等席で夜桜を堪能していた猫だったが、自分の鼻に木の花びらが乗っかりそれを凝視した時だった。
自分の耳の形がその花びらにそっくりである事に気が付き、名前の由来に得心のいった猫は大きな木を見上げた。
この美しい花の名をつけられた事を、少しだけ感謝するのだった。