あらすじ
「……以上が診断結果となります」
「……はぁ。それでは、これからどのような治療になるんでしょうか」
「いえ。私ができるのは診断だけです」
原因不明の体調不良や精神疾患に悩み、行き場を失った者たちが辿り着く場所がある。
《Unleash Lab》――診断のみを行う、奇妙なクリニックだ。
院長の医師は、代々陰陽師を輩出してきた一族の出身である。
しかし彼自身は、霊を祓うための力を受け継げずに生まれた。
それでも人を救いたいと願い、医師の道を選ぶ。
やがて彼は知る。
病の中には、医学では救いきれないものがあり、その根本原因が「見えざるもの」である場合、人は正しい診断すら与えられないまま苦しみ続けるという現実を。
だから彼は、《Unleash Lab》を開業した。
治療も除霊もできない。
それでも、苦しみの正体を「知る」ことだけはできる場所として。
ある日、重度の鬱病を患う女性がこのクリニックを訪れる。
彼女に示された診断は、「自殺した霊に取り憑かれている」というものだった。
戸惑いながらも彼女は、自分の内側に聞こえる声に耳を傾け、対話を重ねていく。
やがて霊は成仏し、彼女の心から声は消える。
回復した彼女の報告を受け、医師は決断する。
霊の気持ちに向き合い、寄り添うことで成仏させた彼女をカウンセラーとして迎えようと。
診断しかできなかったクリニックは、人が自ら向き合い、救われる場所へと変わり始める。
「……以上が診断結果となります」