あらすじ
「忘れたい記憶はありませんか?」
再開発予定の寂れた商店街。そこには、琥珀色の光が漏れる看板のない店――『無銘雑貨店』があった。
中性的な店主が扱う商品は、人間の「記憶」。
悲しみを瓶に詰め、重荷を下ろした依頼人たちは、寂しくも晴れやかな顔で去っていく。
しかし、店員として働く「俺」は、やがてこの店の残酷なルールを知ることになる。
――消した記憶の質量は、世界のどこかで必ず誰かが肩代わりする。
依頼人のエピソードを通じて少しずつ暴かれる、世界の歪み。
そして、「俺」が名前を持たない理由と、店主が隠し持つ一冊の白いアルバムの秘密。
これは、大切な人を失った「後悔」から逃げた僕たちが、最後にもう一度、正しく失うために歩む物語。