あらすじ
決勝戦。一点ビハインド、最終回の裏。私はデプスチャージの前に、バットすら掠めることなく沈んだ。あの日から、私の世界は止まった。
ルールを無視する球。どうやって打てばいいのか、誰も答えを知らない。それでも私は諦めなかった。クリケット。ゴルフ。野球の常識を捨て、異種競技に答えを探した。バットを土すれすれから掬い上げる――ライジング・フェニックス。前腕が悲鳴を上げても、二千回の素振りを繰り返した。
そして迎えた再戦。七回裏、二死。私は彼女の“テル”を見つけた。
親指の動き。肩の沈み。それがデプスチャージの証。球は堕ちる。私は落ちる。そして――
掠った。たった一度のゴロ。アウト。負けた。でも、あの日とは違う。彼女の魔球は、もう絶対じゃない。
これは、無力だった少女が這い上がり、“生きる道”を見つけた記録。
そして、二人の競争は、まだ始まったばかり。