あらすじ
大学で民俗学を専攻する井戸つむぎは、恋人・九条道成の帰省に同行し、地図にない村「九条村」を訪れる。そこには、正月の三日間、火も刃物も使わず、ただ沈黙して過ごすという奇妙な禁忌が息づいていた。
学術的な興奮に突き動かされるつむぎは、道成の制止を振り切り、村の闇に潜む「客」の正体を暴こうとペンを走らせる。しかし、調査が進むにつれ、屋敷は異界へと変貌し、つむぎ自身の存在もまた、紙の上のインクへと溶け込み始めていく。
果たして、三が日が明けた後に残されるのは、愛した人の記憶か、それとも狂気に満ちた一冊のノートか。