あらすじ

音が消えた世界で、少年はただ一つの才能を持っていた。 ——何も鳴らせないこと。 「八葉の国」と呼ばれるその世界では、舞と音と唄が織りなす「律」がすべてを支えていた。だが原初の旋律が崩壊した日、世界は色を失い、人々は声を忘れ、大地は灰色の沈黙に沈んだ。 唯一の師を喪い、音の出ない笛を手にした調律師・奏(かなで)。自らは何ひとつ奏でられない彼が持つのは、世界のどこで律が息をしているかを感じ取る、ただそれだけの力。 乾いた大地で鈴を振る少女。華やかな都で三味線を弾く女。風に舞う遊牧民。岩を砕く太鼓打ち。霧の中で尺八を吹く隠者——。 八つの土地を巡り、八つの音を集める旅の果てに、空っぽの笛は何を奏でるのか。 これは、音を失くした世界に、もう一度「最初の一音」を届ける物語。

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小説を読もう2026/02/13
  • 現在の作品世界は、まだ音を待っている