あらすじ
世界は正当化でできている。
あらすじ
東京常識地方裁判所。
ここでは日々、奇妙な裁判が開かれている。
被告は人ではない。
「努力は報われる」
「自己責任」
「才能はある」
「正常とは平均である」
「多様性は善である」
誰もが疑わずに使ってきた“常識”が、ある日突然、起訴される。
罪状は――
反証不能、循環論法、そして過剰な慰め。
検察官は世論。
弁護人は合理性。
証人は統計、成功者、アルゴリズム。
そして裁判長は、沈黙する。
法廷ではいつも、論理は整っている。
だが判決文の末尾には、奇妙な但し書きが付く。
「本概念は、結果が出た場合に限り有効とする。」
その但し書きは、誰にも読まれない。
敗者の証言は証拠不十分。
成功は再現不能。
慰めは制度化される。
こうして常識は、
有罪でも無罪でもなく、
“使用可能”のまま社会に戻される。
これは革命の物語ではない。
正義の勝利でもない。
ただ記録である。
世界がどのようにして
自分を正当化し続けるのか、その裁判記録。
そして最終話で問われる。
「正当化されない世界に、あなたは耐えられますか。」