あらすじ
「月が赤く輝く時、世界に鬼が出現する」――村では笑い話とされる言い伝えを、翁だけは古い巻物の記録から信じていた。赤い満月の夜、竹林で眩く光る竹を割ると、中には不思議な赤子がいた。翁は秘密を抱えたままその子を育て、成長した彼女は“月の引力”のような美しさで人々を魅了していく。だが月が大きく見える夜、翁は“あり得ない影”を見てしまう。ほどなくして、屋敷に不穏が忍び寄り、巻物に記された禁忌の夜が近づいていることを翁は感じ取る。赤い月が近づくほど、世界の境目は薄くなる──その“影”の正体とは。