あらすじ
その簪(かんざし)に宿るのは、百年の殺意か、それとも救いか。
テレビ局のディレクター補佐・岩崎里美は、伊豆の山奥にある廃墟「極楽亭」の取材中に凄惨な事故に遭う。
共に現場にいた仲間三人は即死。唯一生き残った里美の手には、いつの間にか一本の古びた簪が握られていた。
「里美……一緒に行こう」
病室に現れる、死んだはずの仲間たちの霊。
彼女たちの導きに誘われ、里美は再び「極楽亭」へと足を踏み入れる。
そこは、明治の狂気がそのまま凍りついた異界の遊郭だった。
簪を通じて流れ込む、名もなき花魁・お波の記憶。
百年前、誰が裏切り、誰が笑いながら死んだのか。
特技の居合を武器に、里美は怨霊ひしめく迷宮を駆け抜ける。
背中を支えるのは、死してなお自分を労う三人の仲間。
そして、かつて「銀糸」と呼ばれた女の影――。
これは、過去と現代、生者と死者の絆が交差する、壮絶な鎮魂の物語。