あらすじ
「ありえない場所に、ありえないものがある。新たなノイズじゃ」
月見坂市の夜景を支配する、地上46階建ての最高級ホテル「ホテル・セレーネ」。
如月コンツェルン創業30周年を祝う煌びやかなパーティーの裏側で、その“異物”は静かに置かれていた。
深紅の絨毯のど真ん中に鎮座するのは、泥と油に塗れた、欠けたシャンパングラス。
そしてその中には、異常なほど丁寧に磨き上げられた、場違いな『ハニワ』が入っていた――。
退屈な祝宴を抜け出した令嬢・如月瑠璃は、その不可解な遺留品に魅入られ、いつものように“下僕”である高校生・サクタロウを呼び出す。
平穏なアニメ鑑賞を邪魔され、ジャージ姿で高級ホテルに放り込まれたサクタロウは、得意のデジタルガジェットを駆使して、瑠璃のアナログな『鑑定』に巻き込まれていく。
30年前の建設現場の土、消えた防犯カメラの映像、そして最上階のスイートルームに隠された秘密。
泥だらけのグラスが語る、華やかなホテルの影に埋もれた「人間の記憶」とは?
美しき鑑定士と、平凡なオタク少年が挑む、日常のミステリー。