あらすじ
「失ったものの大きさに、私はようやく気づき始めていた」
――これは、新米神官だった頃の私と、その腕の中から広い世界へと羽ばたいていった幼い少女の物語。
古ぼけた大きなぬいぐるみを前に、23歳の女性神官ジョアンナは昔を懐かしんで微笑んだ。
当時、神殿に勤め始めたばかりの彼女にとって、そこは格式と規律に縛られた、気苦労の絶えない場所だった。 右も左もわからず、気力がすり減っていく毎日。
そんなある日、彼女は教会の上層部である大聖女から、ある孤児の世話を託される。 それは、他者を寄せ付けない、独特の感性を秘めた小さな女の子だった。
慣れない育児と激務に追われる日々。 けれど、そんな二人が不器用に寄り添い、『小さな秘密』を共有したとき――冷たい石造りの部屋に、確かな温もりが宿り始めた。
闇に閉ざされた神殿で、私が守り続けたかったもの。 それは――