あらすじ
男が学び、女は飾るだけ——
そんな世界に、ひとりの公爵令嬢が問いを投げた。
レクチャラー・トレイルブレイザー。
名門公爵家に生まれた彼女は、幼い頃に父から“学院”という御伽話を聞く。徒弟でも修道院でもない、講師を集め、制度として人を育てる場所。
この世界には、まだその言葉すら存在しなかった。
「講師を一か所に集めますわ」
家庭ごとに高額な家庭教師を雇う非効率。
才能があっても機会を得られない現実。
身分と財力だけが教育を決める社会構造。
彼女は合理性を武器に、貴族子弟のための“学院”を創設する。
複数の生徒から月謝を集めることで、家庭教師より安価に。
講師にはより高額な報酬を。
制度として成立する形で、教育を再設計する。
やがて学院は成果を出し、“学院出身”は優秀の証となる。
その基盤の上で、彼女は次の一歩を踏み出す。
——貴族女子学院。
「美しさと知性と教養を兼ね備えた令嬢。婚約先は、よりどりみどりですわ」
表向きは婚約戦略。
だが本当の狙いは、女性の地位向上。
男尊女卑が当然の世界で、女が学ぶことは前例なき挑戦。
保守派の反発、王太子からの婚約打診。
それでも彼女は揺れない。
「婚約は家同士の契約です。決定権は父にあります」
父を盾にしながら、順序を守り、世界を壊さず、底から上げる。
恋より制度。
革命ではなく積み重ね。
学院のない世界に、学院を。
これは、静かに世界を変えようとする公爵令嬢の物語。