あらすじ
高校生の宮坂圭介は、太っていることを理由に、教室でもSNSでも笑いものにされ続けていた。
優しい母と、背伸びして「兄貴」と呼び始めた弟がいる明るい家。だからこそ、いじめのことは言えなかった――そして、圭介は自ら命を絶った。
しかし翌朝、圭介はいつも通り目を覚ます。
心臓の音がしない。体温はひんやり低い。汗もかかない。腐りもしない。
恐怖や羞恥といった感情だけが、薄くなっていた。
電車の視線も、コンビニの店員の目も、教室の薄ら笑いも。
これまで圭介を縛っていたものが、なぜか“痛くない”。
「なんで、俺は怖がってたんだろう」
死んだはずの体で学校へ向かい、圭介は少しずつ“自分の思い通りに行動できる”ようになっていく。
ただし、その代償として、圭介は結末へ向かうほど痩せていく――まるで、二度目の死に近づくように。
これは、ゾンビになった高校生が、いじめと“空気”に支配された日常を静かに壊し、家族の明るさを守ろうとする物語。
そしていつか来るかもしれない終わりの日まで、なぜか生き続ける物語。