あらすじ
王国の第八王女・セレナは、王位継承からも遠く、宮廷では冷遇されがちな姫。
そんな彼女のもとに、ある日突然、北の帝国ヴァルグリムの王子との婚姻話が持ち込まれる。
相手は、獣人が王を務める武の国。
現れたのは、白狼の王子。大きな体躯、鋭い牙、片目に残る古傷――威圧的なその姿は、まさに噂どおり。
無口で無愛想。初対面はほとんど会話もなく終わる。
それでもセレナは、役目として誠実に向き合うことを選ぶ。回を重なるごとに見えてきたのは、どこか妙に律儀で、距離を守る誠実さだった。
そしてある日、白薔薇の庭で、彼は初めて問いかける。
「怖くはないですか。我々のことが」
その問いに、セレナはまっすぐ答える。
見た目ではなく、その人自身を見たいのだと。
——そして迎えた決断の日。
現れたのは、もう一人の“王子”。
美しく、洗練され、誰もが頷くはずの正解。
その前で、セレナはただ、微笑んだ。